先端技術フォーラム

2020/02/19

ものづくり企業にとっての3D CAD―最近の潮流

オートデスク株式会社 技術営業本部 部長 加藤久喜氏

近年、多くの製造業のお客様では大きな変化が起きています。
従来の生産性の向上や製品の機能向上だけではもはや企業の競争力を保つための十分な手段ではありません。
40年近く主に設計へのソリューションを提供し続けているオートデスクではThe Future of Making、「創造の未来」をテーマとして、これまでにない、設計、製造の融合ソリューションを紹介、提案しています。
これらは3D CADとAIやクラウド等の新しいテクノロジーを活用し実現できます。

従来からの企画、設計から始まり、製造、販売、サービスというシーケンシャルのプロセスでは実は企画の段階で製品の価値が決まっており、その価値を設計段階から利益とともにどうやって維持していくのかが大きな課題であり、目標でした。
製品価値を構想する手段としては、過去のナレッジに頼るところが多く、より多くの経験がある大企業や古くから業界にいる企業が有利でした。
これがAIやクラウドを活用すると、製品創出における企画力という面では大きくプレイヤーを変えることになります。

AIを利用することにより、従来からの失敗から学ぶというトライアンドエラーへの時間投資を最小限にとどめるだけでなく、そこから新しいアイデアの提案を受けることができます。
またクラウドでは豊富なコンピューテイングパワーを利用することが可能です。一方、このAIを活用した新しいプロセスにはクラウド上の新しいプラットフォームが必要です。

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例えば、設計では設計仕様だけではなく、製造と運用からの情報を考慮して設計します。
この概念ではCAD、CAEはツールの呼び方であり、あまり意味がなくなってきます。
それぞれが独立ではなく、連携、もしくは一つのプラットフォームで実行していく必要があるためです。また、このプラットフォームで、設計、製造、運用といった一連の作業要件を融合して開発を進めるという概念が、開発者ないしは、共同開発企業に定着すると、プロセス全体を一つの企業で対応する必要もなく、設計に特化している企業や製造が得意な企業が同じゴールに改善し続けながら向かうこともできます。

開発プロセスのそれぞれの領域で新しい取り組みを例として挙げると、設計ではAIを活用した最適形状の設計手法があります。ジェネレーティブデザイン*1と呼ばれるこの方法は、製造領域でこれも皆様に取り組んでいただきたいと考えているアディティブマニュファクチャリング*2による効果を最大限に発揮することができます。
また製造設備に新たな投資をせずともジェネレーティブデザインを活用できるように、製造方法を2-1/2軸、3軸、5軸の切削や鋳造およびレーザー切断機による2次元のプロファイルによる加工といった従来の生産設備を指定して、活用することも可能です。
形状と同時に提示される製造コストの見積金額を比較し、金属の3Dプリントではコストやデリバリ時間とのバランスが取れない製品への適用も視野にいれることができます。
このように仕事のやり方を大きく変えることにより、製品価値を高めつつ、利益を確保できることができると考えております。

この新しいプロセスには3Dの形状が基本となっており、3D CADの導入が不可欠になります。
3Dモデルは従来から図面でコミュニケーションしている設計、製造といったそれぞれの業務のエキスパートだけでなく、営業、マーケティングはもとより、それを使用するユーザーとの情報のやり取りを格段に潤滑にします。
またコミュニケーションだけではなく、3Dモデルの利用は、それまで図面でやりとしていた際の設計ではあいまいにしか定義されていなかった形状を明確にし、製造現場では製造方法や材料を考慮した製法や公差に関しての情報を共有し、経験情報として蓄積し、これを設計を含めたプロジェクトメンバー全員が確認、次回以降のプロジェクトへ反映することができるようになります。

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Autodesk Fusion 360における様々な設計開発プロセスの画面

ただし、3D CADは単なるツール(道具)なので、それを使いこなすためのスキル(技術)も必要です。
適用しやすい領域にあった、入手しやすい価格の、使いこなしやすいツールを検討することを強くお勧めします。
またクラウドプラットフォームのテクノロジーの進歩は処理速度と同様に従来のデスクトップPCのアプリケーションとは比べものになりません。
3Dプリンター、ロボティクスのテクノロジーも同様に絶えず、進化し続ける環境において、継続的に技術向上をするには、クラスルームのトレーニングを定期的に受講するよりもWeb上にあるラーニングコンテンツやチップス、またはユーザーが集まるイベントに積極的に参加し、ユーザー同士のコミュニケーションで対応する方が、コスト、スピード、習得効果において有効と考えます。

オートデスクではこの設計と製造を融合するクラウド上の製品開発プラットフォームとしてAutodesk Fusion 360 を全く新しいテクノロジーで開発し、2015年8月に日本語版をリリースしました。

製品自体は2D/3DのCAD, CAM, CAEの機能がありますが、クラウド上のプラットフォームで、インストールしたバージョンも気にすることなく、それぞれの担当業務を同じデータをみながら同じ環境で、製品開発を進めていき、ジェネレーティブデザイン のような最新のテクノロジーを製品開発プロセス全体で導入することができます。

オートデスク株式会社では、今回紹介したテクノロジー以外にもThe Future of Making、「創造の未来」を探訪し、明日の、そして 100 年後の世界では、製品や建物、都市がどのように生み出されるのかを考えていくRedShiftで紹介しています。

https://www.autodesk.co.jp/redshift

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<ジェネレーティブデザイン>

オートデスク社が開発した、設計検討プロセス。設計目標とともに機能、空間条件、材料、製造方法、コストの制約などのパラメーターをジェネレーティブ デザイン ソフトウェアに入力するだけで、可能性のあるソリューションが提示され、設計案をすみやかに生成することが可能。この設計案に基づいて、検証プロセスを実施しながら、最適な製品を開発する。

<アディティブマニュファクチャリング>

3Dプリンターの登場により、材料から製品に至る製造プロセスがフェーズを追って付加的に進めることも可能になり、従来のように材料を切削・加工・成型といったプロセスで製品製造を行うのではなく、製品製造の段階を追って積層的に行うことにより材料費や製造期間の短縮を図ること。CADや3Dオブジェクトスキャナーにより、製品の幾何学的形状をあらかじめ正確に認識できることで製造プロセスを柔軟に機動的に進めることが可能となった製造プロセスのことをいう。

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