大田区ものづくり企業のご紹介

2020/02/26

照明機器のエンジニアリング力で世界の空間を演出する

トキ・コーポレーション株式会社 相談役会長 時枝直満氏
代表取締役社長 時枝直綱氏

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    大田区中小企業新製品・新技術コンクール優秀賞受賞製品・マイクロライトキャノン
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    海外施工事例・世界的高級ホテルのThe St. Regis Singapore装飾照明(撮影:鈴木文人)

照明機器は、LEDの登場により、その経済性、長寿命、実装の多様性から、クリスマスイルミネーション、建造物のライトアップ、商業施設内でのアーテイステイック照明、道路・橋・空港といった社会インフラの照明も含めて、社会のさまざまな空間での用途開発が拡がっている。
トキ・コーポレーションは、LEDをいち早く照明機器に取り入れた会社であり、技術進化を続けるLEDを使った装飾照明や間接照明技術のプロフェッショナルとして、国内のみならず海外からも、その開発力とエンジニアリング力で高い評価を受けている企業である。TOKISTAR(トキスター)はその高度な間接照明技術により世界で評価されているブランド名だ。
創業者で会長の時枝直満氏は、起業当初は商品企画や製品開発コーディネーターとして活躍していたが、多くの企業の課題相談に乗っている中で、小型電球を使った装飾アレンジメントの奥深さに魅了され、照明機器業界での足場を築いて行くこととなった。

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トキ・コーポレーション株式会社 相談役会長 時枝直満氏

時枝会長が起業した約半世紀前の装飾照明市場は、主に米国マーケットが主導し、クリスマスシーズンだけだった市場が、アミューズメントパークや商業施設の日常的な装飾が始まり、市場が拡大を始めた時期であった。一方で、当時の米国企業の製造した白熱電球器具は構造上、寿命が短いだけでなく器具交換も簡単でなく、消耗品に近かった。
また、この当時の1980年代は日本においても、ちょうど、信頼性の高い電球の技術開発が進むと同時に、さまざまな光源が商品化された時期でもあった。

時枝会長はこうした高品質の電球をベースに、建築物への装着時のデザイン性や、据え付け工事の簡易性を追求して製品開発に傾注した。
こうして出来上がったのが、透明ソケットにサブミニチュアランプを配したトキスター・テープライトだ。日本・ 米国・カナダに特許出願し、1981年7月、トキスター・テープライトの製造販売を開始した。光源を平らなテープ状に配置することにより、折や、曲げ、切断も含めて、構造物への装着が格段に容易になった。いまや装飾照明業界で定着している“テープライト”という名称はトキ・コーポレーションがデファクト化した製品名だ。

さらに、LEDの急速な進化により、光源が白熱球からLEDに変わるとともに、テープライトそのものがプリント基板に置き換わったといっても良いほどに、革新的な進化を遂げている。LEDテープライトは輝度感、遮光確度、発熱量等のコントロールや現場実装の容易性といったさまざまな点で進化しているが、一方で、こうした技術要素の組み合わせの最適化、すり合わせ力が装飾照明の優劣を分ける。

トキ・コーポレーションはまさに、創業以来の長年の経験から装飾照明のエンジニアリング力を積み上げ、ラスベガスのカジノでの採用を皮切りに、世界的に有名なテーマパークや、国内外の様々な場所で採用されるようになった。

現社長に継承された自由な発想を育む社風と課題解決力

顧客の課題解決に向けた創意工夫の取組みは、現社長の時枝直綱氏に経営が引き継がれた後もさらに熱量高く社風として継続されている。
【自由の最大化】という創業の精神と、【夢、ただいま実験中】という同社のスローガンの下、個性豊かなエンジニア集団が引き続き会社の発展を支えている。
社内には3Dプリンターが設置された試作開発室があり、3D造形に基づいた製品のアイディアが社員間で共有され、社員の三分の一を占めるエンジニアがさまざまな製品創出に取り組んでいる。大田区の新製品・新技術コンクールにて優秀賞を獲得した「バーチャルフィラメント」、東京都の発明大賞で東京都知事賞を獲得した「色温度変化アドバンテージ」等の新製品が生み出されている。
社長を筆頭にデジタルリタラシーの高い技術者集団は、競争が増しつつある照明機器マーケットにおいて、スピード感のあるプロジェクト遂行能力で顧客から高い評価を得ている。

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トキ・コーポレーション株式会社 代表取締役社長 時枝直綱氏

また、新しい製品技術への取組みとしては、金属系人工筋肉アクチュエータ「バイオメタル」の研究開発がある。会長の時枝直満氏が、早稲田大学の研究員であった本間大氏(現同社フェロー)と始めた先進技術開発である。ニチノールというニッケル・チタン合金系の形状記憶合金で、物性としては、通常はナイロン糸のようにしなやかだが、電流加熱刺激によりピアノ線レベルの強靭強度で収縮する。現状は、蝶々を模したおもちゃや、ロボットアーム等のさまざまな試作で用途開発を探索しているが、将来的には、ヒト型ロボットの皮膚や表情筋に利用されることが期待される。

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    (バイオメタル製品例)
    音や振動に反応して生きてるように羽ばたく、
    蝶型プチロボット【パピヨン】

創業時からの海外マーケットの開拓力

照明を使い風景を芸術的に演出するトキ・コーポレーションが提唱する“空間演出”あるいは“間接照明”は、欧米発の文化ともいえる。この点、同社の事業のサクセスストーリーがラスベガスのカジノから始まり、常にグローバルな事業展開を志向していることは必然の事業戦略といえる。現社長の直綱氏は米国での勤務経験もあり、英語も堪能、海外の知己も多い。
同社は、1985年の米国拠点を皮切りに、1987年にドイツ、1993年に中国にそれぞれ拠点を設立した。機能性だけでなくアーテイステイックな芸術性をともに追求するトキ・コーポレーションの優れた照明技術が世界の都市の風景を変えている。
世界の主要都市では、建築の新しい表現として壁面を可動式にしたり、高度な照明技術を採用したりして、ダイナミックな風景を演出する取り組みが随所で始まっている。この「キネティックウォール」というプロジェクトは高度な照明演出技術が必要となるが、同社も2019年にシンガポールを代表する複合商業施設Funanでこの制作に参加した。

同社の技術の活躍の場は、一般建築物、ホテル、レジャー施設、宗教施設、空港、駅舎、ショールーム等、多肢に亘る。【自由な発想に基づいた照明技術】と【夢のある実験的アプローチ】で、世界の風景に新たな価値を加えている。


【編集後記】
トキ・コーポレーションの照明による空間演出は、燭台の灯りがダイニングにほっこりとした雰囲気を醸し出すような間接照明です。プロジェクションマッピングのような異空間を生み出すものとは対極に位置するもので、社員の皆さんは人間の生活に寄り添う暖かい照明表現を意識した照明演出に取り組んでいます。LEDは寿命・発光効率・演色性、環境対応等、今後ともさまざまな開発が期待され、LEDの進化とともにトキ・コーポレーションの活躍の場は世界に広がっています。

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