大田区ものづくり企業のご紹介

2020/01/14

経験で培ったノウハウを活かして各分野の先進技術を知り新しいものを作るために必要な要素を繋ぎ合わせていく

株式会社フルハートジャパン 代表取締役 國廣愛彦氏

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蓄積した知識と経験でお客様に適したものづくりを

株式会社フルハートジャパンは、1968年に創業し、現在はコンピュータ応用技術・制御技術をメインに、各種システムの研究・開発から設計・検査までの一貫生産体制を武器に、数多くの顧客より支持を受けている。
父親から事業を引き継ぎ二代目として活躍している、現在の社長・國廣愛彦氏は、元々大手アパレルメーカーに勤めていた。メーカー勤務時代は、自分のところの商品をお客様、消費者に販売員として提供する、それがものづくりのゴールだと思っていた。
父親の勧めを受け現在の会社に入社したときに、アイディアを形にするソリューション営業の価値に気づき、ものづくりへの魅力を感じ始めた。

「図面一枚からものを作ってくれ、と言われるのは好きじゃありませんでした。でも、お客様が困っていることを一緒に探して、見つけて解決してあげることができたときに、お客様が喜んで、私たちを信頼してくれたことが本当に嬉しかった」

大田区内の企業は、クオリティ、デリバリーの部分は天下一品だが、コストの部分がネックで地方の工場と比べたらコスト高だ。そこをわかりながらも“良いものができます”と品質をアピールして仕事を取ってきたが、それでは立ちいかなくなる時代になった。
そのとき、「ソリューション提供ができる」、「アイディアからものづくりができる」ということが有利になってくる。

株式会社フルハートジャパンは、商品を売ることではなく、製作の過程におけるソリューションを買っていただくということが基本的な考え方であり、ビジョンである。このソリューションに着目する考え方は先代の頃から変わっていない。

「技術力が今よりも低かった時代は、いただいた図面に何か言うことはできなかったけど、経験を積み知識を増やし、技術力が上がってきて、様々な業界のお客様と仕事をしたことによって得たもの、たくさんの図面を見たことで得たものを活かして、もっとこうしていったら、などご提案ができるようになっていきました。機械があって、人がいるだけではダメで、そこに培ったノウハウがあるからこそ、色々なことができて、新しいものも生み出せるわけです」

國廣社長は新しいものを生み出すことに積極的だ。その姿勢は父の影響が大きい。

「どんな分野にしても喰いついていった父はすごいと思いますね。尊敬しています。どんな技術に対しても前向きに真摯に向き合ってきたからこそ、今があると思っています」

ノウハウを持っていない業界の仕事には赤字、ロスがつきものだが、「でもその経験値が未来に繋がっていくと思っています」と新規顧客との仕事を楽しんでいる。
社内でも10年程前から自社製品プロジェクトを立ち上げており、たくさんのアイディアが生まれている。社内コンテストでも様々な分野のアイディアが出てきて活気を生み出している。

「ひとつの機能に特化した会社はプロフェッショナルだと思いますが、我々はそれではいけない。技術をすりあわせて繋ぎ合わせてものづくりをしていく企業なので、先端技術を解釈して繋げていく力が必要です。それにはこれまでの経験で培ったノウハウがないといけない。これまでの経験で培ったノウハウを活かして各分野の先進技術を知り新しいものを作るために必要な要素を繋ぎ合わせていくんです」

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I-OTAから大田区を世界に広めていきたい

國廣社長の取り組みのひとつに“I-OTA”(社名:I-OTA合同会社)がある。I-OTAは大田区企業の力をフルに活かし、お客様の課題を解決する共同事業体として、2018年にスタートした。参画企業は、株式会社フルハートジャパン、株式会社エース、株式会社東新製作所の3社。世界有数の工場集積地である 大田区は、職人の現場力によるものづくりで日本を支えてきたが、これまで属人的に組み上げられてきた現場力を、ITとIoTの力で分析可能なデータとして収集し、大田区、そして日本の財産として活用し、日本の開発力を向上させることを目的として活動している。多岐にわたる開発を経験した大田区企業がITとIoTの力で様々な分野の困りごとを解決し、時代に即したソリューション提供を実行している。

「I-OTAはお客様のためのシステムというだけでなく、自分たち町工場を育てるツール、繋がりを再構築するツール でもある」、と國廣社長は言う。

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I-OTAでの海外スタートアップとの製品創出会議
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I-OTAと海外スタートアップとのチーム連携

「これまでやったことないことにトライして、自分たちでもできる、こういう技術を使ったから、ITを使ったからできたんだ、と町工場のお手本として、区内の町工場を啓蒙する役割を担っていると思います。そして“OTAブランド”のひとつとして、“下町ボブスレー”のように認知度の高いものにし、I-OTAから大田区を世界に広めていきたいんです」

大田区を世界へ。國廣社長の目は海外を見据えている。

「ものづくりありきで海外に出ていきたいと思っています。日本の市場はこれからシュリンクしていくことは間違いないので、いかに海外の市場を開拓できるか、これから重要になってくると思います。日本には素晴らしい技術がありますし、最後までとことん開発にあたりますから、必ず海外でも日本のものづくりの需要はあるはずです」

海外進出に関しては、自ら市場を開拓して輸出することもひとつの考え方だが、海外から人材を採用して、例えば本国に戻って企業したい人や、戻って大手のサプライヤーや大手企業で働きたいと思っている人を採用して技術を教え、その人が本国に戻ったときに一緒に仕事ができるような形が取れたら、と國廣社長は考える。

「そのときに出資して工場を海外に持つこともできますし。弊社は生産設備をそんなに必要としないので、技術とノウハウがあれば、設計開発ができるし、アッセンブリー技術があれば成り立ちます。人材を育成して一緒に現地に行くことが理想です」

外国人だけでなく、人材育成は町工場にとって直近の課題だ。跡継ぎがいなくて廃業する工場も多く、幹部候補となる人材を確保することに悩む会社は多い。
「今後は、我々のような中小企業のM&Aが成長戦略の一つになってくる」と國廣社長は言う。

「自分たちが持っていない技術やリソースを解決できるし、人材を得られることは大きいと思いますね。各社の悩みとして、幹部候補生を確保できないというのがあって、それをM&Aで解決できたら、というのは考えていますね。廃業するので社員として雇ってください、というパターンは実際にあります。そうやって人材が確保できるのはラッキーです。社長として経営に携わっていた人が自分の会社に入ってくれて各部門を引っ張ってくれるなんて我々としてはありがたいことです。そういう人たちに「フルハートだったら一緒に働きたい」と思っていただけるような会社にならないといけないと思っています」

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【編集後記】
國廣社長は、先代の事業を手堅く承継するだけではなく、先端技術をベースとしたさまざまな試作開発の動きに、チャレンジ精神高く取り組んでおられます。また、発注先の製品事業化に寄り添うべく、常に、実践的で、アジャイルな製造対応を心がけています。また、國廣社長のエネルギッシュで明るい人柄が地域企業を惹きつけ、さまざまな加工技術を持つ企業とのワンチーム連携を可能としています。I-OTAに代表される地域の企業連携は、製品開発を志向している発注企業にとっては、アイデイア段階から設計、加工を経て量産に向けた試作開発を行う上で、最適な製造パートナーと言えるでしょう。

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